株式投資の外部要因を分析

 この記事では銘柄単独での分析ではなく、株式市場全体に影響を及ぼす外部要因とその分析方法を解説します。

銘柄単独での分析方法を知りたい方は以下の記事をご覧ください。

株式投資の個別銘柄の分析手順

目次

【中央銀行の金融政策と通貨価値】

中央銀行の金融政策と通貨価値を考慮して株式投資の銘柄選択をする際に、以下の4つを意識すると分析し易くなります。

「主な仕入れ先が国内(輸入企業なら自国通貨安有利)・海外(自国通貨高有利)のどちらなのか」

「商品の主な販売先は国内と海外どちらか(海外へ販売なら自国通貨安有利)」

「政策金利変更には「金利敏感株」が敏感に反応」

「中央銀行の利上げで有利子負債の利払い増加。有利子負債がある場合は、ROAが5%以上で有利子負債を利益剰余金が上回っているか」


「金利敏感株」とは、その名の通り金利の変動に敏感に反応する銘柄です。

「保険」「銀行」「証券」「不動産」といった業種がそれにあたります。これらの中で「保険」「銀行」は利上げで買われ易く、「不動産」は利上げで売られ易く、「証券」は利上げ・利下げのどちらでも短期的に買われ易い傾向があります。

中央銀行は物価の安定の為に物価上昇局面では「金融引き締め」を、物価下落局面では「金融緩和」を実施します。

金融引き締めを行うと通貨高になり易く、金融緩和を行うと通貨安になり易くなります。

中央銀行の金融政策が通貨価値に及ぼす影響の主な確認方法は、政策金利とその推移、他の主要な中央銀行との金利差、政策金利発表時の声明文を確認する事です。

中央銀行の行動を先読みする為にインフレ度合いを把握出来る経済指標を確認すれば尚良しです。

基本的には「消費者物価指数(CPI)」を見るのが良いですが、アメリカの中央銀行であるFRBは「消費者物価指数(CPI)」に加えて「個人消費支出(PCEデフレーター)」を重視しているとされております。ユーロ圏の場合は「消費者物価指数(HICP)」を確認します。

「消費者物価指数(CPI)」又は「消費者物価指数(HICP)」の基準値は、前年比で2%の上昇率です。この数値より高いと金融引き締めを、低いと金融緩和を行う可能性が高くなります。

中央銀行が利上げすると、その中央銀行に対応した通貨の有利子負債の利子の支払いが増加します。例えば日銀が利上げすると有利子負債がある日本企業の負担が増加します。

有利子負債の返済が苦になっている企業にとって利上げは痛手となります。

苦になっているかどうかは利益剰余金と有利子負債のバランスとROAの数値を確認します。ROAが5%以上で有利子負債を利益剰余金が上回っていれば安泰です。

【景気の良し悪しを把握する】

景気の良し悪しを考慮して株式投資の銘柄選択をする際に、以下の2つを意識すると分析し易くなります。

「景気改善なら株価上昇。この状況で買うなら「景気敏感株」優先」

「景気悪化なら株価下落 この状況で買うなら「ディフェンシブ株」優先」


「景気敏感株」とは、景気改善局面で株価上昇、景気悪化局面で株価下落の傾向が強い銘柄です。

「自動車」「機械」「鉄鋼」「建設」「海運」「空運」といった業種がそれにあたります。

「ディフェンシブ株」 とは、景気悪化局面でも需要が安定している企業の銘柄です。「電力」「ガス」「食品」「医薬品」「通信」「日用品」「生活用品」を提供している企業がそれにあたります。

景気の良し悪しを把握する為の経済指標としてよく見られているのは「GDP」「貿易収支」「失業率」「平均賃金」「PMI」です。

日本の場合は上記に加えて「四半期大企業製造業業況判断」「景気一致指数」「景気先行指数」も確認するのがお勧めです。

アメリカの場合は上記に加えて「非農業部門雇用者数変化」「ISM製造業景況指数 」「ISM非製造業景況指数」も確認するのがお勧めです。

経済指標の数値には「前回」「予想」「結果」の3つがあり、「失業率」など一部数値が低い方が良いものもありますが、多くの経済指標は「結果」が「前回」や「予想」を上回っていると改善、下回っていると悪化と見做されます。特に「予想」と「結果」に大きな乖離があると市場は敏感に反応します。


【国際情勢】

国際情勢を考慮して株式投資の銘柄選択をする際に、以下の2つを意識すると分析し易くなります。

「商品の材料や加工に必要な資源価格の変動(資源価格が高騰すれば業績悪化傾向)」

「材料の仕入れ先・商品の販売先の国との貿易状況の改善又は悪化」


国際情勢で意識すべきポイントは外交関係の悪化又は改善による需給の変化と価格の変動です。

例えば日本は原油の90%以上を中東からの輸入に依存しております。もし日本が代替輸入先を確保出来ていない状態で中東との関係険悪化により中東からの原油の輸入を遮断されてしまうと日本経済全体が大打撃を受けます。特に石油製品の製造・販売が専門の企業の場合は壊滅的な被害を被ると言っても過言ではないでしょう。

要人発言やニュースで国際情勢に関連した情報が出れば、それが原油などの資源価格に影響を及ぼしているか確認します。

証券会社などが公表しているニュースを見ると何が原因でどの価格が動いたのかが分かり易くてお勧めです。

例えば「ホルムズ海峡が封鎖された事により原油の供給が不安定となり原油高となりました」

というニュースが出れば「原因:ホルムズ海峡封鎖」「影響を受けた資源:原油」「動いた方向:上昇」「原油高が治まる要因:ホルムズ海峡開放及び開放の可能性が高まる報道」と判断する事が出来ます。

外交関係の悪化又は改善がどの程度株式市場に影響を及ぼしているかを判断する方法として、「恐怖貪欲指数」を見るという方法があります。

恐怖貪欲指数は市場参加者の悲観的・楽観的を示す数値であり、0~100の範囲で推移し、50が中立の数値です。数値が低くければ悲観的、数値が高ければ楽観的です。

0~20の範囲が極度の悲観的、81~100の範囲が極度の楽観的となります。

恐怖貪欲指数は国際情勢のみではなく中央銀行の金融政策や景気の良し悪しといったその他の要因の影響も含んだ数値ですが、国際情勢の影響は数値化し難い要素なので、具体的な数値で見たいという場合は参考になる指標です。

例えば、中央銀行の金融政策・景気の良し悪し・企業の業績のいずれの観点から見ても買い推奨と言える状態であるという段階まで分析したとします。後は国際情勢の分析のみ。しかし国際情勢の良し悪しを判断出来る一目瞭然の数値は無く、分析に時間が掛かります。そこで恐怖貪欲指数を見て数値が高ければ国際情勢に大きな問題無しと判断して買い、数値が低ければ問題が生じていると判断して買いを見送るという手があります。この時の注意点は信用倍率とPERの高さです。

信用倍率が高ければ高い程、将来的に大規模な売りが出易い事を意味します。信用倍率の数値は3倍未満が理想です。

PERが高いと割高と見做されて売られ易くなります。PERは15倍以下が買い時です。

信用倍率が過大で株価が割高の場合は急落のリスクが高い状態ですので、今すぐ買うより押し目買いを狙う方が賢明です。

【まとめ】

「金融引き締めで通貨高(輸入企業有利)金融緩和で通貨安(輸出企業有利)」

「利上げで有利子負債利払い増加。ROAが5%以上で有利子負債を利益剰余金が上回っていれば安泰」

「景気改善なら株価上昇。この状況で買うなら「景気敏感株」優先」

「景気悪化なら株価下落 この状況で買うなら「ディフェンシブ株」優先」

「恐怖貪欲指数が楽観の時に信用倍率3倍未満でPER15倍以下なら買い時」


#この記事は筆者(tetsuryu)の独自解釈であり内容の正確性を保証するものではありません。

 

0 件のコメント:

コメントを投稿